わたしの友人の奥様がただいま妊娠中なんですが、最近なんだか「股が痛い」と毎日言ってる様子・・・。
しかも、とくに「動くと痛みが強くなる」みたいで、かなり困っていました。
ただ、この妊娠中の「股の痛み」というのは妊婦にはよくあることで、原因を知って対策をしてしまえば、ほとんどの妊婦さんは楽になるんですよ。
妊娠中に股が痛いのは「恥骨痛」が原因
まずは「なぜ股が痛くなるのか」について原因を知っておくと良くて、それによって「やるべき対策」が明確になるからです。
では、妊娠中になぜ股が痛くなるのかというと、その多くが「恥骨痛」というものが原因になります(「恥骨」とは骨盤の一部です)。
この図のように、恥骨とは骨盤の下の方にある部分で、通常は両側の恥骨が「軟骨」によって繋がっています(出産のときこの繋がりが緩みます)。
そして、この恥骨が繋がった部分(恥骨結合)に負担がかかることで、いわゆる「股の痛み(恥骨痛)」を発症してしまうんです。
それでは、なぜ妊娠中に「この恥骨の繋がった部分」に負担がかかるのでしょうか(これを知ったら対策は簡単)。
・ホルモンの影響で骨盤がゆるむ
・子宮が大きくなり骨盤への重みが増す
この2つが、妊婦が恥骨痛になる大きな原因です。
ホルモンの影響
妊娠をすると「リラキシン」というホルモンの影響によって、骨盤まわりの筋肉や靭帯がゆるむようになります。
もちろんこれは、今後迎える「お産に対する準備」なので、正常なことです。
ただ、筋肉や靭帯がゆるんでいくことで「両側の恥骨が繋がった部分」が引っ張られるようになり、そのため痛み感じるようになってしまいます。
骨盤への重み
前述したホルモンの作用と同時に、妊娠の週数が進むにつれて子宮が大きくなっていくので、この「子宮の重み」によっても恥骨結合部に負担がかかるんです。
しかも、骨盤の筋肉や靭帯がゆるんでいるうえに、さらに子宮の重みが加わってくるので、妊娠後期になってくると痛みを強く感じてしまう人もいます。
妊婦の恥骨痛を軽減する方法
それでは、この妊娠中の「股の痛みを解決する方法」ですが、以下に挙げる3つの対策をするといいです。
・骨盤ベルト
・内転筋マッサージ
・ウォーキング
そして、痛みの度合いに合わせながら、これらの対策を組み合わせていきましょう。
骨盤ベルト
妊婦にとって骨盤ベルトは「必需品」というくらい大切なもので、痛みの有無に関わらず「妊娠初期」のうちから骨盤ベルトを巻くようにしましょう。
そして、骨盤ベルトを巻くときのコツは、腰ではなく「骨盤をしっかりと締める」ようにしてください(へそよりも下の部分)。
そうすることで、骨盤がしっかりと固定できて、両側の恥骨が繋がった部分も安定するので、痛みを減らすことができます。
内転筋マッサージ
いわゆる「内もも」とか「内股」といわれる部分をマッサージすることも、股への負担を減らすためには有効な方法です。
この内ももにある筋肉を「内転筋」と呼ぶんですが、この筋肉は太ももの骨と恥骨を繋いでいるので、この筋肉が硬くなってしまうと恥骨へ負担がかかってしまいます。
ですから、テニスボールなどを使って「内ももの筋肉(内転筋)」をマッサージしておくといいですよ(お風呂でのマッサージも有効)。
ウォーキング
恥骨痛を予防するために「ウォーキング」も効果的で、さらに筋力の強化にもなります。
ただし、ウォーキングするときは「股の痛みがない」ときに実施するようにして、痛みがあるときは無理をして歩く必要はありません(悪い歩き方になります)。
・ガニ股でペタペタ歩かない
・歩幅をやや大きくして歩く
ちなみに、この場合のウォーキングの目的は、骨盤周りの「筋力強化」ですから、少し大股で歩くようにして、ガニ股歩きはやめましょう。
妊婦には「腰痛」も付きまとう
妊娠中は、今回紹介した「恥骨痛」だけでなく「腰痛」にも気をつけておくと良くて、ある研究データ(2017)によると「妊婦の70%」が腰痛を発症しています。
もちろん、今回紹介した「骨盤ベルト」なども腰痛対策に有効ですし、マッサージや筋トレなども腰痛対策や予防に有効です。
しかも、腰痛は産後になると悪化するケースも多いので、早めに対処しておくことがポイント!
・腰痛を発症する
・姿勢が崩れてくる
・膝や足指へ負担がかかる
・外反母趾や巻き爪の原因にも
このようにして、徐々に色々な部分へと負担が広がっていくので、たかが腰痛だとは思わずに「きっちり治しておく」ことが大切です。
この妊婦の腰痛対策については「妊婦の腰痛はこう対処しろ!原因を知って腰痛予防をしておこう」で詳しく解説しているので、よければ参考にどうぞ。
なお、当治療院では「LINE無料相談」もやっていますので、遠慮なくご相談ください。